キーをひねると一瞬エンジンが掛かったあと停止し、インパネ上のREADYランプが点滅の後点灯に変わる。これでスタート準備はOK。あとはハンドル横から生えているシフトレバーをDに入れ、アクセルを軽く踏み込むだけでエスティマハイブリッドはスルスルっと走り出す。ATと同じクリープ(アイドリングでも前に進もうとする力)があるのでギクシャク感もなく走り出しは至ってスムーズだ。
エネルギーの流れを表示するナビ画面を見ていると、走り出しの瞬間は前後のモーターだけで駆動する電気自動車状態なのがわかる。そこから軽くアクセルを踏み込むと、遠くでドスンとエンジンが始動し、モーターとエンジンの協調加速が始まる。舗装路では加速の初期段階のみ後輪のモーター駆動も加わるが、これは早い時期に終了し、基本的にFF状態で、しかもエンジンパワー主体の加速となる。エンジン回転が一定で速度が上がって行く感じはCVT独特だが、継ぎ目の無い息の長い加速はなかなか気持ちいい。
ただし高回転域の伸びはもうひとつ。これは約130kgほど重くなっている車両重量が原因だろう。加速感はガソリンエンジン車よりやや控えめといった印象だ。
プリウスでやや感じられたステアリングのクセもまったく無い。これは電動で油圧ポンプを駆動するパワステシステムの恩恵だと思う。
ブレーキはVSC(ビークルスタビリティコントロール=ブレーキの個別制御で車両の安定性を高めるシステム)・TRC(トラクションコントロール=駆動力を最適に制御するシステム)・EBD(エレクトロニックブレーキフォースディストリビューション=前後左右のブレーキ力配分を最適制御するシステム)・ブレーキアシスト(急ブレーキを補助するシステム)を統合制御するECBを新採用。滑りやすい路面を速い速度で曲がっても、ブレーキを各輪に個別に掛けたり、駆動力を抑えて姿勢が乱れないようにする。同様の制御はこれまでのVSCなどにもあったが、ECBは制御が介入するタイミングが早く繊細なので、ほとんどオンザレール感覚のまま曲がる事ができる。これは凄い。ブレーキペダルのフィーリングもまったく自然で違和感が無い。
気になったのは乗り心地。やはり車体が重くなっているせいだろうが、エンジンのエスティマがしっとりとした重厚な乗り味だったのに対し、ハイブリッドはコツコツとした突き上げが感じられやすい。また、路面から入って来るロードノイズもちょっと大きめだった。
気になる燃費だが、4人乗車のエアコンフル稼働で約200kmを走行し、9.9km/Lという数値だった。予想したより悪かったが、エスティマの名誉のために付け加えるなら、この行程にはかなりひどい渋滞路が含まれていたし、その遅れを取り戻すために高速ではけっこう飛ばした。また途中撮影のためアイドリングで長時間停止していた(基本的に停車中はエンジンが止まるが、エアコンを入れておくと停止しにくい)といった具合で、燃費にとっても最も厳しい走り方だった事を付け加えておく。安全運転に徹して、高速ではクルーズコントロールなどを使えば、燃費は飛躍的に伸びるはずだ。事実、エコランに徹したクルマでは15km/L台の燃費も出いた。9.9km/Lはどんな走り方をしてもこの程度は出るという数値に考えていただきたい。それなら立派なものだ。