1000ccから1500ccまでの排気量レンジをカバーする日産のベーシックカーとして長い間親しまれて来たマーチが10年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。昨年の東京モーターショーでお披露目された時、すでにこれが量販のスタンバイ車というほどの完成度を見せていたため、予想通り今回登場したカタチもショーの時ほぼそのまま。全高を高めコロンとした丸みを強調したボディに、フロントガラス直前の高い位置にマウントされたヘッドライトが動物を連想させる。日産内部では「水面から顔を出したカバ」をイメージしたそうだが、見ようによっては「ネズミ」のようにも「犬」のようにも取れる。ともかくキュートな路線を狙ったのは確かだろう。
先代マーチもコロンとした丸みを帯びたシェイプを特徴としており、登場当時は「可愛らしすぎる」「女性向き」など色々な事を言われた。ところが時が経つにつれ暖かみのあるロングライフなデザインと認知されたと思う。そのセンで行けば、新型もそのうち見慣れるのかも知れない。ただ、僕はこのデザイン、いまだに「可愛らし過ぎないか?」という印象が拭い切れていない。もっとも、発売からわずか1週間ですでに2万台以上を売ったというのだから、世間は抵抗感なく受け入れたという事なのだろう。ともあれトヨタのヴィッツ、ホンダのフィットに続く、ベーシック・コンパクトの期待の新星であるのは確かだ。
ボディサイズは全長3695mm×全幅1660mm×全高1525mm。かなりコンパクトだった先代よりも一回り以上拡大され、特に全幅は75mm、全高は100mmも大きくなっている。居住性や時代に即した安全性を考えるとこのくらいのサイズアップは仕方のないところだろう。一方全長は25mmと僅かながら短縮が図られた。それでも室内長は大幅に広がっているので、つまり新型マーチはメカニズムをコンパクトにしてエンジンルームを極力短くしているというわけだ。ちなみにこのサイズは全幅がヴィッツと同じで、全高がフィットと同じ。全長は両者の中間といったところ。この辺からももはやライバルとガチンコ対決状態なのが分かる。
ところで、日産というとルノーとのアライアンスで有名。このマーチはルノーとのプラットホーム(クルマの基本骨格)を共有することを初めて正式に明らかにしたクルマでもある。おそらく次期トゥインゴやクリオ(日本名ルーテシア)にこの基本骨格が使われるのだろうが、今回のプラットホームは日産主導で開発されたとの事。ルノーとのアライアンスが決まった時点でマーチの骨格はほぼ決まっていて、その後ルノーからのリクエストを盛り込むカタチで完成に至った。ルノー側も実際にクルマを作る際は各部のデイメンジョンを相当いじると思うので、日産とルノーのクルマが同じになるような事は無いと考えて良いと思う。
新型マーチのボディはいずれもハッチバックで3ドアと5ドアの2種類。先代にあったようなワゴンは今のところ存在しない。搭載エンジンは1000cc、1200cc、1400ccの3タイプ。先代の物を大幅にリファインしたCRという新エンジンで全車三つ星の「超−低排ガス」認定を受けている。ちなみに3ドアに1400ccの設定はなく1200ccまでだ。ミッションは4速ATが主流だが5MTも1200cc専用として用意。先代にあったCVTはひとまず姿を消した。駆動は今のところFFのみ。4WDは後輪の駆動にモーターを使うE・4WDという新システムを開発中で、これは秋ごろにお目見えするという。現行2WD車の価格は95.3万円〜132.0万円までだ。