まずはATのバージョンTから試した。 Dレンジにシフトしアクセルを踏むと、2000回転あたりですでに十分なトルクを発生させるエンジンに加え、ATもスリップ感がほとんど無いため、レスポンスの良いスタートが切れる。いかにもスポーツカーらしいキレ味だ。VQ35DEはフラットなトルク特性だが、なにせ大排気量でトルクに余裕があるので、どこから踏んでも実に力強い加速を見せる。
Dレンジ任せだと6000回転オーバーで上にギアにつなぐ、3000回転から上ではロックアップが効き直結となるのでアクセルのオン/オフに対する反応が正確で気持ち良い。一方、マニュアルモードもスカイラインより大幅にタッチを向上させていた。シフトストロークが詰まっている上、クリック感も軽くなり、レスポンスも良い。
バージョンSTの6MTも良い感じだ。エンジンのパワフルさは当然の事ながら同じ。マニュアルミッションは新車のせいか、力むとやや引っ掛かる感じが残っていたものの、シフトストロークは適度だし、ノブの感触などもよく作り込まれていて気持ちが良い。
走り出して驚いたのは、その乗り心地の良さだ。確かに締まってはいるが、ゴツゴツ・ガチガチといった荒さはまったく無い。ロングツーリングを行なう際に、この乗り味は強い味方になってくれると思う。やはりZの本分はスポーツでもグランドツーリングにあるのだ。それに高速での直進安定性にも感心する。これは空力特性を煮詰めて車体の浮き上がりを抑えたゼロリフトの恩恵だろう。ともかくどの速度域でもビタッと安定している。
さて、ワインディングだが、ここでのZはまさに水を得た魚だ。フルロック2.7回転のステアリングは切り始めからビンビン反応するタイプではなく、しっとりとした舵の効きを示す。だからタイトターンではそれなりに転舵量も多くなるが、どんな路面、どんな曲率でもフロントタイヤは正確に地面をトレースするのが良い。欲を言えば、これでステアフィールにガチッとした剛性感が出ればベストだ。
コーナリング限界はかなり高いし、その過渡域のコントロール性も抜群に良い。ドライバーがまだまだ行けると思っているのに、TSCが早期から介入してパワーを絞ってしまうのは興冷めだが、これはカットスイッチで切って楽しめば良い事。ともかく今度のZは以前にも増して身のこなしが軽く、大排気量スポーツであることを意識させずに存分に楽しめるクルマである。
バージョンSTとTの違いは、ブレーキで顕著だ。ブレンボのカチッとした踏み応えと、タフな熱容量はやはり頼もしい。17インチと18インチタイヤとでは、僕は18インチを勧める。ステアリングを切ったままコーナーを抜けるような際、ステアに出るキックバックはなぜか17インチの方が強めだし、グリップ限界を迎えるのもやはり17インチの方が早く、コーナー立ち上がりのプッシュアンダーがやや強い。18インチは限界が高い上、その時の挙動がわかりやすいのである。