さて、肝心の走りだ。RX−8はスポーツカーなのだから、ここが良くなければ魅力は半減してしまう。まずエンジンだが、250ps仕様はレブリミットが9000回転に設定されている。レシプロにもこういった高回転型はあるが、そこまで回すのにはかなり根性が必要。しかしRX−8のロータリーは文字通りそこまで一気だし、回転フィールもスムーズなのでその領域を常用できる。独特のクオーッと来るエキゾーストノイズも快感で、思わず回したくなるエンジンだ。
自然吸気ということでトルクの細さが心配されたが、これもまったくの杞憂。そりゃ大排気量エンジンのような図太いトルク感は無いが、低回転で無造作にクラッチをつないでもギクシャクしない実用性はキチンと備えている。しかもアクセルのオン/オフに対するレスポンスも以前のロータリーとは較べものにならないほど良くなった。
全域で使いやすく、4000回転あたりからは独特のキレとパンチを味わわすタイプSのエンジンはなかなかの力作だ。
一方210psの方は、レブリミットを7500回転に抑え、下側のトルクにさらに余裕を持たせている。したがって5MTで乗っても痛痒感は無い。ここ一発のパワーは250psにかなわないものの、イージードライブを目指すならこちらもお勧め。ただしATとの組み合わせを選んだ場合は、スポーツ性に関してはあまり期待しない方が良い。4速のためワインディングではほとんど2速ホールドとなってしまうし、そこからの加速もちょっとでも登り傾斜があると緩慢。この辺にトルク不足が露呈しているわけだが、RX−8の雰囲気だけを楽しみたいというのなら、ATも十分にありだ。
ハンドリングは極めて楽しい。ステアリングはそこそこクイック。切った分だけ正確に反応するタイプだ。狙ったラインを正確にトレースする能力に長けているから、どんな速度域でも走らせていて楽しい。攻めた走りをすると、あるところからDSCが介入してアンダー/オーバーの制御を行うが、DSCスイッチの長押しによってこれは解除することが出来る。この時のRX−8の動きは本当にレベルの高いFRスポーツそのもので、ステアリングをきっかけにアクセルワークで姿勢をコントロールするような走りも難なくこなす。しかもその限界が分かりやすく、安心して楽しめるのだ。
このように高い運動能力を持つのに、同時に乗り心地が極めて良いのもRX−8の美点だろう。スポーツサスのタイプSでも不快な突き上げはほとんど無い。ストロークに余裕のあるサスをうまくセッティングしているからだが、これはロングツーリングで本当に有り難い。標準サスの方はさらにマイルド。その分コーナリングの切れ味は少し劣るが、正確なライントレース能力やコントロール性といった物は変わらずハイレベルだから、これでも十分に楽しめるし、腕も磨ける。
ただ、ATとの組み合わせだとちょっと乗り心地が硬くなる(今回のAT車はスポーツサス付きだったのでなおさら)のと、ターンインでのアンダーステアもやや強くなっていた。これはエンジンマウントの違いによるものだそうだ。ま、そんな意味からも、やはりRX−8のスポーツ性をフルに楽しみたいならMTを選ぶのがベターだろう。
ちなみにブレーキは制動時の姿勢が良くどのクルマも合格。特にタイプSの18インチタイヤ版は踏力に応じた自然な効き味が印象的だった。