何と言っても注目は可変シリンダーエンジンだろう。3気筒運転に移行する条件は風向きや路面状態によって変わるが、おおむね20km/h以上130km/h以下、エンジン回転で3500rpm以下ということだ。しかし、3気筒になったからといって音や振動に変化があるわけではなく、100km/h・2200rpmでクルージングしていてもキャビンは至って静かだ。
そこからアクセルに力を込めると即座に6気筒運転に移行する(メーター中央のディスプレイがエコ走行時は緑に、通常走行時は白色に変わる)のだが、切り換えをパワーフィールや音/振動などで感じるのはほとんど無理。意地悪をして3気筒運転のときにアクセルを急にがばっと開けるような運転をすると、唐突にトルクが出て来るような印象を受けることはあったが、普通に走らせている限りは気筒切り換えを意識する事はまず無いと言って良い。
3気筒を休止するのにはホンダお得意のVTEC機構が利用される。休止モードに入るとVTECが片バンク(冷却のため止まるのは後方の3気筒)側のバルブを閉じたままにするのだ。バルブが開かないからシリンダーは燃料や空気が供給されない密封空間。バルブをフルオープンにした方が抵抗が少ないような感じもするが、実際には閉じた方がロスが大きいそうだ。
3気筒になるのは良いが、そのままでは音や振動も変わってしまい6気筒特有のスムーズさが失われてしまう。そこでこのエンジンは、アクチュエーター付き液封エンジンマウントを採用し、3気筒運転時の振動と同位相の振動を発生させて3気筒時の振動を打ち消すアクティブコントロールエンジンマウントが採用されている。また音に対しては、3気筒運転の時にオーディオスピーカーから逆位相の音を出してこもり音を低減するアクティブノイズコントロールも搭載した。経済性とパワーの両立のためにこれだけの技術が使われているのだ。
で、その走りなのだが、6気筒走行時のパワーは十分。フラットなトルク特性で低回転域から力強いし、高回転域も6800rpmのレブリミットを越えて回ろうとするほどの元気の良さだ。新たに採用された5速ATをマニュアル操作してこのパワーを引き出すのはなかなか楽しい。もちろん回転フィールもホンダエンジンらしくスムーズだった。
操縦性はマイルド。タイトなコーナーではFFV6エンジンらしい鼻の重さを感じるが、舵角が大きくなってもタイヤは最後まで接地性を失わず、修正に対してもレスポンスするので信頼できる。また、高速道路はどっしりとした乗り味で、ライントレース性もよく気持ち良く飛ばせた。ただ、乗り心地は細かい凹凸に対して敏感に反応してしてしまい、ちょっとヒョコヒョコしたところがあるのは気になった。これが取れてスムーズさが増したら最高だ。
最後にE−プリテンショナーとCMS(追突軽減ブレーキ)も体験出来たので、その印象も報告しておこう。このシステムはミリ波レーダーで車間距離と接近速度を監視し、追突の危険性があると判断した場合に、まず音とランプの点灯で警告を出す。それでも接近する場合は軽いブレーキングとシートベルトの弱い巻き取りでドライバーに回避操作を促し、更に接近する場合はE−プリテンショナーが強くベルトを引き込んで乗員の拘束性を高めると共に、CMS(追突軽減ブレーキ)が強いブレーキングを行う。
体験走行では30km/hで走るターゲット(的)に70km/hで接近する。つまり速度差40km/h。この勢いで最後までドライバーがブレーキ操作しないと、一気にベルトの強い巻き上げと強いブレーキングの領域まで行ってしまう。それでも衝突は避けきれずターゲットに軽く当たってしまった。つまりこのシステムは警告を出すのが第一の目的で、ぶつかる際はそのダメージを少なくするのが狙い。けっして衝突しない魔法のクルマではないのだ。その点さえ頭に入れて普通に使う限りは、転ばぬ先の杖として活躍してくれるはず。特に他の事に気を取られてブレーキングが遅れた、などといううっかりミスの予防にはかなりの効果があるものと期待される。