異なる2つのパワーユニットを持ち、双方の得意な部分を使って走るのがハイブリッド自動車。プリウスは文字通りその分野の先駆けで、電気モーターとアトキンソンサイクルを採用した1500ccエンジンの出力を、プラネタリーギアを使った動力分割機構によって協調させ走る。
エンジンは低回転ではトルクが出ないので、スタート時は回り始めから大トルクが得られる電気モーターが担当。通常走行時はエンジンが発電をしつつモーターと一緒に駆動し、減速時はモーターを発電機に変え、2次電池に電気を蓄えるエネルギー回生を行なうというのが、プリウスの制御の全貌だ。
こうした構成は97年にデビューした初代プリウスと変わらないが、今年9月に登場した2世代目は、可変電圧システムを新たに採用しモーターと発電機の電圧をこれまでの2倍の500Vに昇圧した他、モーター出力も33Kwから50Kwへとパワーアップし、エンジンの高回転化なども実現している。その結果動力性能が向上したばかりか、モーターで走れる領域が増え、なおかつ減速時のエネルギー回生効率も上がった。つまりシステム全体がより高効率になったのだ。これにより35.5km/Lという画期的な低燃費を実現したわけである。
新型プリウスは走らせ方も独特だ。四角い箱状のリモコンキーをステアリング右横のスロットに挿入た後、ブレーキを踏みながらその横にあるパワースイッチを押す。すると、ダッシュボードにREADYの文字が点灯。これでTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)ーIIの起動が完了する。この状態ではエンジンはかからない(コールドスタートやバッテリー残量が少ない場合はかかる)からまったくの無音だ。
次に、やはりブレーキを踏みながら、小振りなシフトノブを右下にコクンと動かす。手を放すとレバーはホームポジションに戻ってしまうから、この辺も通常のATとは操作感が異なる。その状態でサイドブレーキを解除し、アクセルを踏み込めばモーターで静かに、スルスルっとプリウスは走り出す。
新型の進化ぶりが知れるのはやはり動力性能。アクセルを踏み込むと遠くでエンジンが始動しモーターとの協調加速を開始するが、その時の中間加速はオーバー2000ccのエンジン車に匹敵する力強さだ。もちろん高速巡航も得意で、追い越し車線を延々とキープし流れをリードするような走りも苦もなくこなす。しかもアクセルから足を離すとすぐさまエネルギー回生に移り、バッテリーの電力がみるみる回復して来る。けっこう飛ばしても実用燃費は20km/Lに限りなく近く、本当に経済的だ。
新型プリウスは足腰も先代モデルより格段にしっかりし、コーナーを攻めるような走りにも対応してくれる。新たに5ドアハッチバックとなったボディは、大柄な人が後席に座るとやや頭上空間が少なく感じる事はあるものの、足元スペースの広さやトランクの使い勝手なども十分で、実用性も極めて高い。エコカーでありながら走りにまったく不足を感じさせないばかりか、とても静かで、操作系のインターフェースも斬新で使いやすい新型プリウスは、未来の感じさせる楽しいクルマだった。