ベーシック軽というと、大抵の場合ベーシックなデザインに落ち着いてしまうところだが、とにかくアルトはオシャレなのである。円と直線をテーマにしたというデザインは、丸いボンネットと、スッと後ろへ流れる特徴的なルーフのライン、そしてパンチングメタルのような格子状のグリルなどなど、ひと目でアルトとわかる個性的なものだ。全体的には、シンプルで清潔感溢れるものだが、ベーシック軽としてはかなり大冒険と言っていいと思う。
ボディカラーも、最近流行りのピンクやオレンジをあえて外し、アルトから新流行を作りたいという女性カラーデザイナーの意向で、香水をモチーフにしたパフュームカラーの新色、ムスクブルーメタリックとココナッツベージュメタリックを加えた9色を揃えている。
インテリアにも、円と直線は生かされている。その代表がジグソーパズルのピース柄のシート表皮。最初は、ジグソーパズルのピースの円と直線というのがピンとこなかったのだが、よく考えたら確かに円と直線である。これは、ドアを開けるたびに楽しくなりそうだ。そしてシートの座り心地もなかなか。カタチ的にも、背中もお尻もスポッと収まる感じで、滑りにくい生地が採用されているのがまたいい。
さらに、インパネやドアトリムに取り入れられた、今までになかったクロス柄のシボや、一見布張りのように見えるセンタークラスターなどの風合いも、上手くプラスチック感が抑えられて、高い質感さえ感じる演出がなされている。毎日使うクルマだからこそ、高い質感が演出されているのは嬉しいところ。やはり安っぽいものは飽きてしまいがちだからだ。また質感で言えば、ドアを閉めたときの音もなかなか高級感があるのに驚いた。
他にも、幅広いユーザー層が乗るこのクルマの性格を考慮し、ドアの開口部を大きくしたり、他車と比べてもかなり大きなドアミラーを採用したり(従来比40%も増量)、ヒップポイントを先代よりも25mm高めたり、シートのスライド量を180mmから240mmにしたり、ピッチも12段から16段に増やしたり…などなど、細かい配慮がなされ、誰もが運転しやすいというベーシック軽の命題にも最新の注意が払われている。
後席は、座面は少々短めで、背もたれも私の体格でギリギリだが、足元は広々、ヘッドクリアランスはバッチリ、窓も下まで下がる。ただし、ヘッドレストがXにしか装着されていないのが、少々残念なところ。Xのヘッドレストは使用しないときは、背もたれの高さまで下がるタイプが採用されているので、コスト面を考えると仕方ないのかもしれないが、どうせなら全車につけて欲しかった。
また、装備で言えば、シートリフター&チルトステアリング&ショルダーベルトアジャスターやABSは量販グレードのGにこそ標準だったり、選択できる装備として設定して欲しかったところである。
さて、ラゲッジスペースだが、開口部はフラットなので荷物が積みやすく、後席の背もたれ倒すとほぼフラットになるので、荷物は結構入りそうだ。開口部も広めで低めだし、なかなかグッドである。