まずインパネの使い勝手から見ていこう。センタークラスターは下から灰皿、エアコン、そして、真ん中に少々飛び出した感じでハザードボタンが独立してついている。その上にオーディオといったレイアウトは、使いやすさがすごく考えられたいかにもスズキらしいデザインで好感がもてる。
ただし、助手席足元のカップホルダーはいただけない。運転席のダッシュボード引き出し式のカップホルダーは使いやすそうだが、助手席はエアバッグがそこに入っているので、同じようにはいかなかったらしい。ラパンのように上開きのエアバッグにしてでも、装着してほしかったところだ。
ポケッテリアは、グローブボックスは普通だが、センターコンソール前にガバッと投入れられる大きめのボックスがついているのは意外と便利。また、運転席のカップホルダーの下にはカードホルダーやコインホルダーもついてるなど、必要な装備はちゃんと揃っているのが好ましいところだ。アルトの性格を考えると、ほとんどがひとりまたは二人乗車だろうから、運転席中心のレイアウトでも別段問題はなさそうだ。
そして特筆モノはまだあった。ステアリングやペダルなど、いわゆる運転するのに体が触れるところの質感は抜かりないのが、また上手いところだ。触感からくる安っぽさがまったく感じられないのである。毎日乗るクルマだからこそ、この配慮は嬉しい限りである。
ひとつ気になったのは、エアコンの音。ブロア以外のコンプレッサー周りの音だと思うのだが、結構入ってくるのだ。
さて、まず量販グレードのGだが、特筆モノは乗り心地のよさだ。街中路面の凸凹も上手くいなしてくれて、すこぶるいい感じである。アクセルを踏み込むとさすがにウルサイのと、ロードノイズもそこそこ入ってくるが、ATのショックもなく快適性はバッチリ。バランスはいちばんグッドな感じである。
これが上級グレードのXになると、静粛性はもう少し高まる。ただし、3ATモデルのGと比べると、4ATモデルのXは出足がもう少し元気のない感じだし、タイヤの性格が違うぶん、乗り心地的にも突き上げ感とは言わないまでも、多少コツコツと入ってくるので、高速中心ならエンジンの伸び、静粛性などを考慮してXがオススメだが、街乗り中心ならばGのほうが乗り味としてはマッチするかもしれない。
もう一台ベーシックグレードのEのMTも試乗するチャンスがあったのでちょっとご報告しておくと、MTモデルのせいか、立ち上がりからして元気よく、コレはアリだなと思わせてくれた。オマケにMTが意外にもショートストロークでフィーリングがすこぶるイイ。現在販売中の乗用タイプ軽の中ではナンバーワンのフィーリングといっても過言ではないハズだ。ただし、タイヤが小さいので、コーナリングとなると厳しい。ちょっと勢いよく入っていくと、街中の交差点でもタイヤが鳴き始めるくらいだ。また、おもてなし装備はパワーウィンドウも含めてまったくないので、お仕事で乗るならこれもありかなという感じである。ただベースはすごくいいので、MTの上級グレードなんか出ると、なかなか楽しいかもしれないと思ってしまった。
さて、ハンドリングのフィーリングはタイヤ意外はすべて同じなのだが、とにかく安定志向である。試しにダブルレーンチェンジなんかしてみても、アレレクルマが動かないぞぉ〜っと一瞬思ってしまったくらいだ。アクセルペダルのレスポンスも、飛び出し感のない設定というか、もう少し早めの反応でもいいのでは?と思わされるくらいだ。でも、ロールの仕方も素直だし、動きもわかりやすいので、幅広いユーザー層が予想されるアルトというクルマの性格を考えると、誰が乗っても安心して乗れるというこのセッティングは正解なのであろう。
また、ストッピングパワーとしては、絶対容量的には必要にして十分といった感じだが、ブレーキのタッチはなかなかのもの。初期制動力の立ち上がりが強すぎるなんてこともなく、コントローラブルで非常に使いやすいもので、カックンブレーキとは無縁と言えそうだ。
オシャレな上に軽自動車に求められるベーシックな性能をきちんと考えられたアルト。ベーシック軽の業界に新たなる旋風を巻き起こしてくれそうだ。