今回、念願叶ってマツダスピードアテンザに試乗するチャンスを得た。乗ってみてまず感じたことは「開発の人はこのクルマを造りたかったんだろうな」ということ。
今、日本の自動車メーカーのモータースポーツ活動を見てみると、トヨタとホンダはF1、日産はスーパーGT、スバルと三菱がWRC、スズキもJWRCに参戦している。
かつてル・マン24時間レースを制したほどの自動車メーカーが、ワークス活動と言えるようなモータースポーツ活動を休止して久しい。自動車メーカーの開発陣にとっては、フラストレーションがたまるばかりだ。しかしそのフラストレーションが、いい方向に動き、1台のクルマを生み出した。それがマツダスピードアテンザだと言える。
マツダスピードアテンザに搭載されたエンジンは、MPVに採用されているものと基本的に同一の直噴ターボ。直噴方式を採用することで、9.5という高圧縮にターボを組み合わせることを可能としている。直噴エンジンのいいところはしっかりとした力感を持つことで、この特性は見事に生かされている。低速からしっかりとしたトルクがある。
通常はそれが高回転まで維持されるのだが、このマツダスピードアテンザはちょっと違う。3000回転弱の領域を境に、ターボが効きはじめトルクがグッとアップするのだ。ターボが効く様子はしっかりと体感できるものだが、急激ではなく適度な過渡特性を持っている。
マツダスピードアテンザは6速のMTを採用する。最近、減りつつあるMTではあるが、やはりスポーツドライブには必須のアイテム。FFベースのためシフトストロークは長めだが、操作性は確実。シフトミスをするような感覚はなく、選んだ場所に確実にシフトすることができる。
専用チューンされたサスペンションは、適度な硬さと的確なダンピング特性を持つ。スポーツカーと比べれば、長めのストロークを持つが、クルマのカテゴリーを考えれば当然のこと。地をはうようなロードホールディングではないが、そのレベルは高い。攻めていくとフロントからグリップを失うが、その挙動もわかりやすくコントローラブルである。
走行時のノイズも低めで、快適性も高い。ハイウェイクルージングもそつなくこなし、長距離でもストレスはたまりそうにない。実にジェントルでスポーティなクルマに仕上がっている。
今後に求めることは、モータースポーツ活動を再開し、より多くのノウハウを得て、それを生産車に生かすこと。ユーザーは速さとスポーツ性に、その裏付けを求めるものであるからだ。