フォード フォーカスST
ベーシックなフォーカスは5ドアハッチバックのボディに1600ccと2000ccのエンジンを搭載するが、STはスポーティな3ドアハッチバックでエンジンは直列5気筒の2500ccターボ。トランスミッションは6速MTのみとなる。
225馬力の最高出力は、2500ccのターボ車であることを考えると控え目な数値だが、その分だけ幅広い回転域で高いトルクを発揮する。ギヤ比の割り方が細かい6速MTも手伝って、発進直後から動力性能は十分。ターボのクセを感じさせず、3000ccオーバーのエンジンを積んでいる感覚でダイナミックに走れる。1600〜4000回転という幅広い領域で32.6kg-mの最大トルクを発揮するから、アクセルを踏み込めば、峠道から高速道路まであらゆる場面で力強い駆動力が沸き上がる。この骨太なエンジンフィーリングは、2000ccで280馬力を絞り出す国産のターボ車とはひと味違うものだ。
そしてこの骨太感は、ハンドリングや走行安定性にも当てはまる。サスペンションを硬めの設定にして18インチタイヤを履かせ、さらにボディ骨格にも入念な補強を加えた。これにより、ベーシックグレードとは一線を画すガッシリした操舵感覚に仕上げている。
ただし、スポーティカーだからといって、妙にクイックなステアリングにしていないところが欧州車らしい。反応の仕方は俊敏ではないが、転舵した角度に対して忠実に向きが変わり、ドライバーが意図した通りのコーナリングが行える。
しかも、素早い切り返しを強いられたり、危険回避のためにコーナリングの最中にブレーキングを行っても、後輪の挙動が乱れにくい。スポーティな運転感覚を狙ったクルマではあるが、それ以上に走行安定性を優先させている。このあたりは高速走行が日常化している欧州のニーズに基づく設定だが、国産車に親しんでいると、とても奥の深い大人っぽい乗り味に感じられるのだ。
乗り心地も快適。硬めのサスペンションでありながら、ゴツゴツした突き上げ感がない。これもボディを補強した成果といえる。クルマの土台ともいえるボディの剛性が高いと、ソフトなサスペンションでも走行安定性に優れ、硬めの設定でも乗り心地を悪化させないのだ。
不満な点は全幅が1840mmに達する超ワイドなボディだが、この幅があってこそ、優れたハンドリングが得られたともいえる。ベーシックなフォーカスでは辛いところだが、STについてはデメリットとも言い切れないだろう。
ターボによる走りのパフォーマンスは、クラスを超えたハイレベルなものがある。3000ccオーバーのモデルのような太いトルクは圧巻!
直列5気筒エンジンにターボを組み合わせて、最高出力225馬力を発揮。むやみに高出力を狙わず、走りのパフォーマンスを高めたのが欧州車らしいところ。
6速MTを採用しており、ドライバーの意のままにクルマを操る楽しさが味わえるのが魅力のポイントとなる。

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