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【Vol.36】クルマ作りに国境はない!(2004/3/26更新)

 

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NSXは安い!?

いや、先週は勢いであんなこと書いちゃいましたけど、「ラテン系は個人の才能を重んじて」とか、本当はそんな簡単なもんじゃないと、もともと私だってわかってるんですけど。
そんなこと考えてると、どうして日本って「内」と「外」の区別に、こんなにこだわるんでしょう。たとえば北朝鮮とか、もっと意識の開けてない国も同じなんだろうけど、とりあえず日本って、世界の先進国の一員ってことに、まあ、なってるはずじゃないですか。でも身近なクルマ雑誌を見ても、まず何より本作りの大前提として「コクサンとガイシャ」とか「日本車と輸入車」って線引きがありますよね。
だから、感じとして「ニッポンえらい!」とか「やっぱりヨーロッパが一番!」とか、雑誌ごとに現住所が決まっちゃってる(誌風っていうんですか)んじゃないでしょうか。だから「ニッポンえらい!」の編集部に行くと、「ランエボとインプレッサより速い乗用車は世界にない。だからニッポン勝った!」みたいな話ばかりで、そこに輸入車がらみの企画なんか話しても馬の耳に念仏だったりします。「うちの読者は若いから、ガイシャなんか高くて手が出ませんよ」とかの理由なんだけど、そのくせ500 万円近くするスカイラインGT-Rや1000万円のホンダNSX なんかだと、えらい勢いで特集組んじゃったりするんだよね。

ニホンシャがいいワケがない

その逆に「ガイコクえらい!」の編集部で日本のクルマの名前なんか出そうもんなら、もう鼻先でフン!みたいな空気。たまに日本車を取材しても、「やっぱりヨーロッパにゃ敵わないよねえ」とか苦笑まじりにため息をつくのが、お決まりのスタイルになっちゃってます。トヨタやニッサンが非常にいい仕事をしても、彼らは絶対に認めようとしません。それも厄介なのは、事実を知ったうえで認めないんじゃなく、その事実が事実として認識できない体になっちゃってるんです。「日本のメーカーがいいクルマなんか作れるわけがない」ぐらいの思い込みなら可愛いんですが、「そんなことがあってはならない」まで行っちゃってますから、どんなにいいクルマでも、日本製ってだけで良く感じることが不可能になっちゃってるんですね。
でもさ、あまり深く考えなくても、日本車と外国車とか、さらにドイツ車とかアメリカ車とか、本質的に違うと思います? 私は30年以上ほとんどのクルマに乗って来ましたけど、その結論として、もはや国別の分類などほとんど不可能だと思ってます。まあ、話をわかりやすくするために、お国柄とか民族性みたいな話題を入れることはあるし、それっぽい雰囲気のクルマもなくはないですけどね。それを承知のうえで、あえて私は言いたいね、「クルマ作りに国境なし」って。

部品単位で眺めたら……

だって、見りゃわかるでしょう。たとえばコクサンとガイシャって分けたとしますね。そうするとトヨタとスバルが同じ陣地ですよね。でも社風とか技術思想とか製品の雰囲気で見ると、トヨタ(愛知県)とスバル(群馬県)の距離より、スバルとアウディ(ドイツ)の方がずっと近そうじゃないですか。そんなのをいっしょくたにまとめて「日本車は」とか褒めてもけなしても、まーったく意味ありません。
クルマ作りの基本なんて、今は世界中どこでも同じ。そもそもメーカー自身が、「自分はどこそこの国の会社だ」なんて思ってやしません。トヨタだろうとメルセデス・ベンツだろうと、いつも世界規模で次の仕事を考えてるだけです。いつかシトロエンを訪ねた日本のクルマ評論家が、「昔は独自性の強いデザインやメカで楽しいクルマだったのに、最近は普通っぽくなってつまらない」と言ったら、「私たちはフランス人だけに喜ばれるクルマを作り続けるつもりはありません。広く世界で売れなければ企業の存続もないのですから」と一蹴されてしまったそうです。あんな唯我独尊のシトロエンでさえそうなのだから、ほかが平均的な世界基準になっちゃうの、無理ありませんよね。
それに、普段の私たちはできあがったクルマしか見たり乗ったりしてないけど、その舞台裏じゃもっとずっと前から、国際的な統一が進んでるんです。それは部品業界の再編成。これは完成車よりずっと強力なネットワークが完成してて、その都合で世界が動かされていると言えるぐらいなんです。たとえばメルセデスとかBMW という名門でも、もちろん独自のもありますが、たとえばボッシュとかザックスみたいな強大な部品メーカーから新技術の売り込みを受けて、それを自社風に味付けして新製品にしてる部分、すごく多いわけ。 そこで、実はここから矛盾する現象なんですが、だからこそ前より強くお国柄とかブランドとか叫ばなきゃならなくなったって話はまた来週。こんなこと自慢するのもナンですが、そういうわけで、世界のクルマを本当に等距離で眺めているクルマ評論家は、たぶん日本では私だけじゃないかと思います。

デザインもメカニズムも奇抜(!?)だったシトロエンも今ではグローバル化が進み、だいぶ“普通”になりました。って言っても、現在販売されている写真のC3とかを見る限り、まだまだじゅうぶん個性的だとは思いますが……。これで後輪の上半分が隠れてたら、よりシトロエンぽかったかも。




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