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【Vol.42】日本一のディーゼル自動車評論家(2004/5/7更新)

 

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日常使う範囲がチカラ強い

さて、そういうわけで(と強引に話を進めますが)ステアリングを握ったメルセデス・ベンツS400CDI 、まあ本当に優等生なんだわ。もちろん高級ビッグセダンの定番S クラスだからクルマそのものからして上出来なんだけど、ディーゼル積んでもほとんど満点。
こんなこと、いきなり言い切れるのも、日本の自動車評論家の中で、たぶん私が一番たくさんヨーロッパの新世代ディーゼルを試乗してきたからだと自負してます。プジョーのディーゼル全部、フォルクスワーゲン、オペル、ルノー、BMW にフィアットと、とりあえず軒並みビシバシ鞭を入れてありますんで。そういえばローマからフィレンツェまで乗せてもらったBMW 7 シリーズ(先代)のディーゼルも、150km/h 以上で驚くほど静かにぶっ飛んでくれました。ヨルダンの砂漠を突っ切る直線路でプジョー607 のHDI をテストした時には、200km/h 以上でも前後席の間で普通の声量で会話できました───とか話しだすと長くなりますが、そんな経験からしてもS クラスはやっぱり第一級。
とにかく今のディーゼルって、何より速いんですよ。たとえばこのS400CDI は4000ccのV8で最高出力250ps 。数字だけ見れば高性能車のイメージじゃありませんが、実際面で最も効くトルクが最大57mkg も出てます。これ、普通のガソリンエンジンなら排気量6000cc級じゃないと出せないパンチです。これを1700rpm なんて低いエンジン回転で出すから、ちょっと踏み込んだだけでグーッと来るわけ。グラフで見ると、アイドリングのちょっと上ぐらいから3000rpm 以上まで、ほとんど最大トルクと同じぐらい出てんのね。常に全開で高回転をたくさん使うレーシングカーなら最高出力も大切だけど、私たちが路上を走る時って、軽く踏んだり放したりの連続じゃないですか。だから低回転でのトルクだけで差が付いちゃうんです。その代わりディーゼルは回転数が伸びないんで、このS クラスもタコメーターは5000rpm からレッドゾーンですけど。

満タン1回で東京から下関!?

先週も書いたように、ディーゼルはあらゆる熱機関の中で最高の熱効率を誇るんですが、そのうえこんな風に低回転ばかり使うんで、なおさら燃費が良くなります。S クラスのオンボードコンピューターを、街とかアウトバーンとか走行環境が変わるたびにリセットしながら平均燃費を観察したら、あまり成績がいいんで驚いちゃいました。だって全長5m級の大型豪華セダンですよ。それが街を普通に走って約10km/l、東名ぐらいのペースで巡航だと10km/l以上、連続200km/h のペースでさえ7 km/l以上も伸びるんだから。ま、だいたいドイツ系の高性能車は高速で予想以上に伸びるもんだけど、それにしてもねえ。 これを日本仕様の高級車、たとえばセルシオ(もちろんガソリン)でやってみると、私自身の経験では、都内でだいたい5 〜6 km/l、高速を普通に(いや、ちょっと違反ぐらいかな)流して9 km/l行けばいい方ってところです。メルセデスのS でも、ガソリンV8搭載のS500だと似たようなもんでした。それだけでもディーゼルの優位は明らかで、アウトバーンを150km/h で巡航すれば(この状態でも10km/l近くはいけます)、88lの燃料タンクで次の給油まで880km もノンストップで走れる計算になります。東京から西に向かって岡山を越え、広島県に半分食い込むぐらいです。日本の高速道路ぐらいのペースなら、上手くやれば満タンから満タンまで1000km届くかも。あとちょっとで下関ですよ。

1kmあたりのCO2の排出量が少ない

ちなみに日本とヨーロッパでは燃費の表示が違って、あちらでは1 リットル当たり何キロ(km/l)とは言いません。100km 走るのに何リットル消費するかというのが基本で、日本式が8 km/lという場合は「12.5l/100km 」と書きます。でも私なんか日本式が頭にこびりついてるから、走りながらオンボードコンピューターの数字を見て、それで100を割って、「だいだいこれぐらいだな」とか考えなきゃならないんで、けっこう面倒だったりします。
それはともかく、そこがヨーロッパのディーゼル人気のポイントだったりします。ドイツでは日本みたいにディーゼル燃料(軽油)が安いわけじゃなく、1 lで0.90ユーロ(約117 円)と、ほとんどレギューガソリン並み。でも一気にたくさん走るユーザーが多いドイツでは、次の給油まで「足が長い」って、とても魅力的なんだそうです。それに「1 リットル当たりの距離が延びる」のは、逆に言えば「1km 走行当たりのCO2 排出量が少ない」ことなので、そのぶん環境にも優しいから、いずれ将来電気自動車が実用化されるまではディーゼルが本命だというのが、真面目なドイツ人の論理なんです。ま、それで全部が解決ってわけじゃないのは彼らも知っていて、遅ればせながらメルセデスもハイブリッドなんて言いだしてますけどね。
おっと、速さと燃費ばかり紹介してるうちにまたも行数が尽きてしまいましたが、振動と騒音もすごく少ないんですよ〜。

本文で取り上げているメルセデス・ベンツのS400CDI。残念ながら日本へは導入されておらず、その実力を味わうことができません。4リッターのV8ディーゼルなんて、どんなものか一度は乗ってみたいものです。




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