西荻窪の自動車研究所のはずなんですが、所長の私はほとんど留守。個人的な希望としては、北口の古い喫茶店の窓際で、のんびり読書にふける午後なんか過ごしたいなーとか思ってはいるんですが、ビンボー暇なしというか、稼ぐに追いつく大ビンボーというか、旅から旅への浮草稼業やってます。
そういうわけで、今このコラムは山口県の美祢サーキットで、フォーミュラ・ニッポンを取材する合間に、こそこそプレスルームで書いてます。今度も愛用のプリウスで来たんですが、かなり急いだにしては燃費が21.8km/lというのは、ちょっとばかりエッヘンではありますな。伊豆・大仁で満タンにして沼津で東名に乗り、名神、山陽道を経て山口県の佐波川SAまで900km 以上も無給油で行けたんだから。普通に走って1000km無給油で行くのが当面の夢ではあります。
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ところで美祢サーキットは、レース界では「MINE」とローマ字で名乗ってます。山口県の美祢市にあるんだけど、こっち方面を知らなければ「みね」って読めないかもしれないからです。そして私たちクルマ雑誌の業界では「魔のMINE」として恐れられているサーキットでもあるのです。
いや、べつに危険なコースだとか、トイレに幽霊が出るとかじゃありません。ここでレースを取材すると、どうしても予定通りに事が運ばないことが多いんです。偶然そうなるだけなんですが、かなり困るんだよね。
クルマのレースって基本的には駆けっこだけど、いろいろ手続きもあります。その一つが「暫定結果」。今この目の前で見た通りの順番で上位3 人が表彰台でシャンパン振りまいたりするのも、あくまで暫定順位です。その暫定結果表には「何時何分発表」と書いてあります。
これは、「あのチームのクルマは規則に違反してる」とか、「誰それはレース中にルール違反の走りをした」とか、参加者から抗議が出るかもしれないから。もし抗議したければ、暫定結果発表から30分以内に文書で提出するのが決まりです。その間に何もなければ暫定結果が正式結果に切り換わって発表される仕組みで、たいていの場合それでオーケーです。 でも、なぜかMINEのビッグイベントでは抗議が出るんですね。そうすると関係者がコントロールタワーに呼び出されて事情聴取されて、それから主催者が抗議を認めるのか却下するのか相談して、さらに統括団体のJAF からお目付役として派遣されてる審査委員の了解をもらって───という手続きが始まるから、正式結果が出るまで延々と時間がかかっちゃったりするんです。
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さあ、そこでMINEがどこにあるかというと、下関から東に30kmぐらいの丘陵地帯。東京から出張するには、まず福岡か宇部まで飛行機、そこからレンタカーが普通です。レースが終わると、みんなプレスルームで必死に速報記事を書いて電子メールで送って、レンタカーに飛び乗って空港へ急ぐのがお約束のパターン。翌朝から平常通りの仕事に戻るには、その晩の飛行機に乗らなければなりませんから。
おまけにケシカランことに、なぜか空港のレンタカー営業所は午後8 時で閉店なんで(これ、いつかも書きましたぽね)、それまでに返さないと大変なんですが、MINEから福岡空港までは2 時間かかります。ってことは、正式結果が出るのを待って原稿書きをやっつける全部が午後6 時までに終わらないとアウトなわけ。これが駄目だと、その晩もう一泊して翌朝の飛行機に変更なんですが、それも早朝のフライトが使えない。だってレンタカーが午前8 時にならないと返せないんだから。そこでヤケになって博多でフグなんか食っちゃうと大赤字って寸法です。
だからレース後に抗議なんか出てごらんなさい。みんな携帯ひっつかんでパニックですよ。スポーツ新聞のデスクからは「おい、速報原稿どうなってんだ」とか矢の催促だしね。そこで「どうせ抗議却下だろう」と暫定結果のまま見込みで書いちゃう人もいますが、昨日(8 月29日のフォーミュラ・ニッポン第6 戦)なんか最悪のケースでした。実は私もとりあえず見込みで速報書いて、あとはパパッと送信するだけの態勢で待機してたら、みごと抗議が通って結果がひっくり返っちゃうし、そしたら今度はペナルティを受けた側が納得せずJAF に控訴するとかで、結局さんざん待たされたあげく「正式結果は保留」ですと。またこの控訴の審理ってすぐやるわけじゃないから、たぶん結論が出るのは2 カ月ぐらい先になるんだけど、誰が正式に優勝なのか決められないまま記事を書くって、すっげえやりにくいんだよね。盛り上がんないし。
まあ、それでも私の場合は自分のクルマなんで、いくら待たされてもそのまま帰れるから問題ありません。MINEから西荻窪まで11時間。たいてい朝の6 時ごろには到着できて、足止めを食らった連中の飛行機が羽田に着くよりずっと早いんです。
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| F1の一つ下のカテゴリーということで、レベルの高い戦いが繰り広げられるフォーミュラ・ニッポン。今年は前年度のチャンピオンが移籍するなど勢力図も大きくかわり、より熱いバトルが展開されております。写真は昨年ランキング4位で、今年も活躍が期待されているアンドレ・ロッテラー選手のマシン。F1テストドライブの経験もあり、関係者の評価もかなりのもの。 |
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