トンボ返りでローマに行って来ました。メルセデス・ベンツからニューモデルが出て、その国際報道関係者試乗会です。なんでドイツのメーカーが、べつに寒い季節でもないのに、わざわざ渋滞の激しいローマあたりで試乗会かというと、ちょっとばかり演出があったんですね。
それというのも、クルマがクルマだから。今度はCLS っていうんです。ほらメルセデスって、C 、E 、S と普通のセダンがあって、CLが贅沢クーペでSLがオープンのスポーツカーで、それの小さいのがSLK でとか、○○クラスって名乗ってるでしょう。それが今度はCLS クラス。
どういうのかっていうと、土台はE クラスでやっぱり4 ドアなんだけど、ちゃんとしたセダンじゃなくクーペみたいな感じ。つまりルーフラインを思い切り低くしてスマートに見せてるわけ。一昔前、日本でも流行した4 ドア・スペシャルティ(トヨタならカリーナEDやコロナ・エクシブ、ニッサンならプレセアとか)みたいな感じです。こっちじゃとっくに流行らなくなったのに、なんで今ごろメルセデスがと思って、写真だけ見た時は「駄目だ、こりゃ」だったんだけど、いざ実物に乗ってみたら、いいんですよ、これが。
もちろん普通のセダンほど広くはないけれど、元がミドルよりビッグなE クラスだから、それほどせせこましくもない。もちろん走りは第一級なわけです。それより、なんとなく無駄っていうか、贅沢感がちゃんと濃いのね。さすがメルセデス、しっかり高いカネ取るだけのことはあります。
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───って、ここで試乗記を書くつもりじゃなくて、あの理屈っぽいドイツの名門が、こういうクルマをどう説明したかっていうのが、実はローマと関係あるわけ。こういう4ドアのクーペって、昔はローバーにもあったんだけど、考えるまでもなく無駄じゃないですか。メルセデス自身、「誰もが必要としないクルマなのに、誰もが欲しくなるクルマ」みたいなこと言ってんだから。
そこで考えたキーワードが「甘い生活」。フェデリコ・フェリーニ監督の名作で、主演がマルチェロ・マストロヤンニ、アニタ・エグバーグ、アヌーク・エメ、舞台は爛熟と頽廃のローマという映画なんですが、だいたい雰囲気わかるでしょ。メルセデスとしちゃ、実用とか性能じゃなく、こういう雰囲気の中を駆け抜けるクルマみたいに見せたかったんですね。
だからローマで試乗会やって、郊外の大撮影所として有名なチネチッタまで足を伸ばしてスタジオ見学とか、いろいろ趣向を凝らしてたんです。たしかにチネチッタはすごい撮影所で、「ギャング・オブ・ニューヨーク」なんか街だけじゃなく港のシーンまで全部ここのセットで撮ったほど、設備も整ってます。「甘い生活」も、もちろんここ。
でも、いざチネチッタに着いた途端、私はまたまたフィアットの試乗会を思い出しちゃいました。もう15年ぐらい前かな、チンクェチェントが出た時のことです。フィアットもローマで試乗会やって、ここをアトラクションに使ったんです。
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ところでフィアットといえば、今クルマ界ではちょっと勢いないけど、「イタリアより大きい」と言われるほどの巨大企業なんで、国内なら何でも無理が効くんですね。どんなことをやらかしたかっていうと、まず市内のホテルから私たちをバスに乗せました。そこには白バイが2 台待ってて先導するんですが、なんとまあ、夕暮れのラッシュ時の都心をノンストップなんですよ。交差点なんか白バイがブロックしてバスに「行け」って合図するだけ。信号なんか関係ない。アッという間にノンストップでチネチッタに到着ですが、いいのか、そんなことやって。良くないよなあ。
で、チネチッタの中も完全にフィアットの仕切り。まあフィアットが映画界の大スポンサーでもあるからなんですが、アトラクションも半端じゃないんです。だって、べつに何か撮影してるわけでもないのに、ほら、よく西洋時代劇にあるでしょう、海賊船どうしの闘いが。帆船の横っ腹から大砲ドカ〜ンと撃って、そのうち船どうしがドシンとぶつかって、ロープにぶらさがった海賊が飛び移ってチャンバラやるシーン。あれをわざわざ私たちの見物のためにだけやるんですよ。ざっと見た感じじゃエキストラ200 人は使ってましたね。もちろんメイクもコスチュームも本物の映画と同じで、夜空に眩く照明も焚いて、上がり下がりするクレーンにはカメラも載ってるって具合。肝腎のチンクェチェントはっていうと、隅っこの方でちっちゃくなって並んでました。
そんなわけで、メルセデスで始まった話がまたまたフィアットの試乗会になっちゃったけど、おかげで乗る時間が少なかったのが残念でした。そういうわけで来週は、お尻がすりむけるほどたっぷり乗りまくった試乗会の話を書きましょう。
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| 実用性よりも美しさ、カッコの良さを重視したCLSクラスですが、ベースとなるのが割りと大きなEクラスなので、この手のクルマにありがちなせせこましさはないとのこと。しかし、メルセデスがこういったクルマを造るとは、質実剛健で名を馳せた昔では考えられませんね。 |
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